『「ママちゃん、これおいしい」から始まった、私と奈良漬の誕生物語』

奈良漬を作り始めた理由を聞かれると、
私はいつも少し考えてから、言葉を選びます。

私は、
長男を亡くしています。

妊婦のときから半年ほど入院検査の後
生まれて1カ月ほどで天国へ行ってしまいました。

その後の私は、
何もしたくなくなりました。
育児もできず、
今で言うと「育児放棄」に近い状態だったと思います。

人生について考えることも、
前を向くこともできず、
生きること自体をお休みしていた時期がありました。

そんな中で、
幼稚園に通っていた長女がいました。

ある日、
たまたま作っていた食べものを口にして、
ぽつりと、こう言ったんです。

「ママちゃん、これおいしい」 🍚

その一言で、
世界が一気に変わったわけではありません。
でも、
心の奥で何かが、ほんの少しだけ動きました。

「子どもでも食べられる」
その発想が、
このとき初めて生まれました🌱

私は若い頃、
バスガイドをしていました🚌
毎日のように観光のお客様と奈良を巡り、
あることをずっと感じていました。

「奈良って、ほっておいてもお客様は来てくれる」
でも、
「珍しくて、常温で持ち帰れるお土産って、意外と少ないな」
ということ。

私が引きこもり、
人生をお休みしていた間、
幼稚園の先生や、ママ友たちに
この奈良漬をお裾分けしていました。

すると、
思いもよらない言葉が返ってきました。

「これ、売って!」
「こんなお土産、探してた!」

そのとき、
ふと頭に浮かびました。

「これ、お土産ギフトにしたら喜ばれるんちゃう?」 🎁

そこからの行動は、
今思えば本当に無謀でした。

うつの時期があったからこそ、
こんな挑戦ができたのだと思います。
正常な大人なら、
たぶん、しないと思います。

だって、
投資ばかりが先にかかって、
売れる保証もなければ、
販売先も何もない。

今考えても、
正直、おそろしい…… 😅
「ようやったな」と自分でも思います。

でも、不思議なことが
本当に、たくさん起こりました。

お漬物グランプリ
西日本グランプリ。
全国準グランプリ。

メディア主催の
ごはんのお供グランプリ。

新聞やテレビでも取り上げていただき、
販売先は、少しずつ、でも確実に増えていきました。

私は今でも思っています。

これは、
天国にいる「つばさ」が
商品として生き続けてくれているんや
と。

彼が生まれていなければ、
この商品は
絶対に誕生していません。

だからこの奈良漬は、
私にとって
もう一人の子どものような存在です。

一つひとつ、
愛情を込めて製造し、
洋服を着せてあげるような気持ちで
丁寧に梱包しています🎀

そしてこれは、
私一人の力ではありません。

当店のスタッフとともに
愛情たっぷりで作っている商品です。

悲しみから生まれたけれど、
今は、
誰かの「おいしい」や
誰かの大切な時間に寄り添える奈良漬になりました。

この物語が、
どこかの誰かの心にも、
そっと届いたらうれしいです🍃

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